ポン・ジュノ監督が「最近10年間に見た映画の中で、最もユニークなホラー」と評価し、昨年急逝したイ・ソンギュンさんの演技も見られる本作品。
ネタバレなしで、『スリープ』を見た感想と韓国での評価をお伝えします。
『スリープ』あらすじと作品情報
公開 / 時間 / 年齢制限 | 2023 / 94分 / G |
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原題 | 잠(眠り) |
監督 | ユ・ジェソン |
出演 | チョン・ユミ、イ・ソンギュン |
あらすじ | 幸せいっぱいの新婚夫婦ヒョンス(イ・ソンギュン)とスジン(チョン・ユミ)。 ある日、隣で寝ている夫ヒョンスが妙な言葉をつぶやく。「誰か入ってきた」その日から、眠りにつくとまるで別人のようになるヒョンス。 目を覚ますと何も覚えていないヒョンスは、眠りにつくと家族を傷つけることを恐れ、スジンは毎日眠りにつく瞬間から恐怖に襲われ、眠ることができない。治療を受けたり、あらゆる努力を試みるが…。 |
- 第60回 百想芸術大賞(映画脚本賞)
- 第44回 青龍映画賞(最優秀女優賞 チョン・ユミ)
『スリープ』感想:ネタバレなし
軽いスリラーぐらいに思っていたら、想像以上に怖かった…
特に前半。深夜に一人で見てはいけないやつです。
何かすごいものを見せられるわけではないのに、息をひそめて見入ってしまう緊張感、精神的な怖さとじわじわくる音楽のせいで、ちょっとした物音にも反応してしまう…
ある意味、ありがちなホラーよりもよっぽど怖い。
そして驚いたのは、ほとんどが家の中で、この主演2人のシーンであること。
ユ・ジェソン監督は本作が長編映画のデビュー作、脚本も書いていますが、限られた場所と登場人物でこれだけの恐怖を作ったのがすごい。
もちろん主演の演技もよくて、特にチョン・ユミの血走った目が忘れられない。
それに、全てを見せない、何かわからないってのも肝。
後半の流れは、賛否両論ありそうですが、個人的には怖さ半減…その代わりにまた別の見ものができたって感じです。
結末ははっきりしないからこそ見た人それぞれに解釈が違うはずで、この話も単純に終わったというより、「あれ、まだ続いてるのかも?」と終わりでさえ不確かなのが魅力。
「いやいや、そもそも最初から…?」なんて、いろんな想像を膨らませることができる余白があるので、スッキリしたい人には向きませんが、考察好きな人は好みかも。
そして、今は亡きイ・ソンギュン俳優の声を懐かしく、切なく感じてしまうのでした。
『スリープ』韓国での評価
観客数:147万人
評価(10点満点):観客 7.86点
大ヒットとまではいきませんが、評価はまあまあといったところでしょうか。
おそらく結末の好き嫌いが分かれます。
好評 |
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不評 |
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最後に:精神的な怖さが一番怖いよね…
私はホラー苦手なんですが…、『スリープ』はホラーのような怖さを味わいつつ、でもいかにもな残虐シーンはなかったのでビクビクしながらも一安心。
(ただし、怖い想像はありますけど)
『スリープ』を見てふと思い出したのは、ナ・ホンジン監督の『哭声/コクソン』
『哭声/コクソン』の方がもっと血みどろなんですが、実はあまり残虐な行為をしているシーンはないんですよね。(だいたい終わった後)
それでもその場の空気感だったり、精神的な怖さがなにより怖いんです。
まだ、見たことがない方はぜひ!