最近ずっとこのドラマ『怪物』が韓国のNetflixでTOP10上位に入っているので(2021/4月)、気になって見てみたら…、
思いもよらぬ犯人だった―とか、疑わしい人物が何人も―というサスペンスは多々あれど、その中でもこんな変わったドラマは初めてでした。
しかも先日行われたばかりの韓国のゴールデングローブ賞といわれる「百想芸術大賞」で3冠を達成(作品賞、脚本賞、男性最優秀演技賞)、まさに2021年を代表する旬なドラマになりました!
では『怪物』を見た正直な感想、見どころをネタバレなしでお伝えします!
このドラマの世界観は完成度が高いよ~
韓国のゴールデングローブ賞とも呼ばれる「百想芸術大賞」で3冠
- TV作品賞:『怪物』
- TV男性最優秀演技賞:シン・ハギュン『怪物』
- TV脚本賞:キム・スジン『怪物』
『怪物』あらすじと作品情報
放送局 / 放送日 | JTBC / 2021.02.19 ~ 2021.04.10 |
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最高視聴率 | 6.0% |
話数 / 年齢制限 | 16話 / 13+ |
原題 | 괴물(怪物) |
脚本 | キム・スジン |
監督 | シム・ナヨン |
キャスト | シン・ハギュン、ヨ・ジング、チェ・デフン、チェ・ソンウン、チョン・ホジン |
簡単なあらすじ | 片田舎のムンジュ市マニャンにある交番に勤めるイ・ドンシク(シン・ハギュン)は20年前、双子の妹であるユヨンが行方不明になり今でも探している。 残されていたのは、家の庭先に置かれていた10本の指先のみ。 ある日、ソウルからエリート警衛ハン・ジュウォン(ヨ・ジング)がマニャンへ転任してきた。 パートナーとなったドンシクとジュウォンは、ススキ野で老人を捜索している最中、指先がない白骨死体を発見するが… |
では、さっそく感想だよ!
『怪物』感想:ネタバレなし
なんと言ってもこの『怪物』の世界観、雰囲気がすごくよくできています。
見始めた時はポン・ジュノ監督の『殺人の追憶』を思い出すほど、降りしきる雨、ぐちゃとした泥、じめっとした空気、精肉店の生々しい肉など五感を刺激される”におい”がしてくるようなドラマなんです。
しかも舞台は片田舎で、土着的で閉鎖的な人間関係がしっかりあって、そこだけの常識、やり方がある。
「ここには秘密はない。どこかで誰かが全部見てる。」
1話に出てくる会話ですが、後でだんだん事件が明らかになってくるにつれ、この田舎のホラー的な怖さが連鎖的につながっているのがわかります。
この独特な雰囲気がおもしろいだけでなく、俳優たちの演技、特に主人公のイ・ドンシクを演じたシン・ハギュンの演技がいい意味で怪しすぎ!
実力ある演技派だけに、演出とはわかっていても怪しすぎて、本心が全く読めない…
普通は主人公の目線でドラマを見ていきますが、その主人公が一番怪しくて信じられないし、不可解な行動をするので、誰の視点で話を追っていけばいいのかわからなくなっちゃうんです。
しかももう1人の主人公であるエリート警衛ハン・ジュウォン(ヨ・ジング)も、ドンシクに影響されてか怪しく変わっていきます。
結局、主人公も含め怪しい人物がどんどん出てくるので、その謎解きを客観的に楽しめるか、惑わされてついていけなくなるかは人によるかもしれません。
「怪物をつかまえるためには、怪物にならないと」
タイトルが『怪物』というだけに、これがキーワードとも言えます。
私もちょっとドンシクが怪しすぎて、ここまでしなくても…なんて迷子になりかけた頃、6話で一気に話が急展開して事件解明にのめり込んでしまいました…
主人公が何を考えているかわからない、信じたいけど信じていいのかわからない―これは今まであるようで、これだけ不安な感じは初めてで新鮮でした。
そして、子役から見ているヨ・ジング君がこんなに大人になってしまったのに軽いショックを受けつつ、難しい演技を堂々とこなす姿に舌を巻いたのでした。
ぜひ6話までは見てみて~
鑑賞ポイント
怪物は誰か
「怪物、俺か?おまえか?」
「怪物は誰か」
これはこのドラマのキャッチコピーでもありますが、まさにその通り。
主人公2人、そしてマニャンの人や関係者たち。
脇を固める俳優たちも個性的で、田舎っぽさもうまく出ていて、怪しさも満点。
韓国語タイトルは”괴물(怪物)”ですが、タイトルが出る時に人物の上に重なってでてくるようになります。
「怪物は誰か」
あの『イカゲーム』で強烈な悪役を演じたホ・ソンテも含め、ぜひどんな人物がでてくるか、楽しみにしていてくださいね。
何人怪物がでてきたんだろう…
決定的なドラマの色を作りあげたOST
OST(オリジナルサウンドトラック)が秀逸なドラマはたくさんありますが、
この独特で怪奇なサスペンスドラマをより独壇場にしたのはOSTじゃないか、とくにエンディングで使われていたこの曲。
美輪明宏のような独特な声に、トロットのようでブルースやジャズっぽさもあるメロディー。
このクセのある曲がこのドラマの空気感を瞬間的につかんで作り上げてしまったような感覚。
いやー、このドラマの演出、タイトルの入れ方からOSTまで、すごくセンスいいです。
この曲、聞けば聞くほどクセになるよ
最後に:女性監督の演出が最高だった『怪物』
サスペンスに限らず、今まで多くのドラマを見てきましたが、ドラマの演出、世界観に酔ったのは久々ですね。
もちろん事件を解決していくおもしろさもありますが、演出がとてもよかったです。
しかも演出したシム・ナヨン監督は若手の女性監督。
最近の韓国は『ヴィンチェンツォ』のキム・ヒウォン監督も含め、女性監督がドラマで大活躍!
これからがさらに楽しみです!
異色サスペンスだけど、好きな人はすごく好きだと思うよ