韓国で、2022年最大のヒットドラマとなったのが『財閥家の末息子』。
「もしあの頃に戻ったら、〇〇するのにな~」なんて思ったことありませんか?
それを実現したのがこのドラマ。
サスペンスや復讐の要素だけでなく、1980年代から近現代史の主要な出来事を扱っているので、その時代を知っている自分も「あの時は〇〇だったなあ」なんて思いながら、いろんな世代がハマってしまうドラマなのです。
韓国で最高視聴率26.9%、首都圏では30.1%というすごい人気ぶり。しかもNETFLIX、TVING、Disney+で同時公開されてこの数字!
(ちなみに『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』は最高視聴率17.5%)
ではさっそく『財閥家の末息子』を見た感想、見どころをネタバレなしでお伝えします!
見始めたら止まらなくなるよ~
『財閥家の末息子』あらすじと作品情報
放送局 / 放送日 | JTBC / 2022.11.18. ~ 2022.12.25. |
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最高視聴率 | 26.9% |
話数 / 年齢制限 | 16話 / G |
原題 | 재벌집 막내아들(財閥家の末息子) |
脚本 | キム・テヒ、チャン・ウンジェ |
監督 | チョン・デユン、キム・サンホ |
キャスト | ソン・ジュンギ、イ・ソンミン、シン・ヒョンビン、ユン・ジェムン、チョ・ハンチョル、キム・シンロク、キム・ナムヒ、キム・ヒョン、パク・ジヒョン |
簡単なあらすじ | 財閥一家のオーナリスクを管理する秘書ユン・ヒョヌ(ソン・ジュンギ)は、13年も財閥家に尽くしたにもかかわらず殺される。 気づくと時は1987年、よりによって自分を殺した財閥家の末息子チン・ドジュン(ソン・ジュンギ)になっていた― |
脚本家はドラマ『トキメキ☆成均館スキャンダル』のキム・テヒ、監督はドラマ『W-君と僕の世界-』『彼女はキレイだった』のチョン・デユン。
では、さっそく感想だよ!
『財閥家の末息子』感想:ネタバレなし
いやー、おもしろかった!!!
久々にハマって連日朝方まで見てしまった作品。
何がいいかって、おもしろい要素がいくつもからみ合って、男女、年齢に関わらず楽しめるんです。
- サスペンス
- ファンタジー
- 復讐
- 現代史(世界&韓国経済・トレンド)
フィクションと前置きしつつも、誰もが知っている財閥がモデルになっていたり、自分も知っている事件、ニュース、トレンドなどが組み込まれているのでリアリティがあり、今までよくあった財閥のドラマとは一線を画しています。
しかも、主人公がもともとはお金に苦労している庶民で、財閥にこき使われて捨てられた身。
それが、自分を殺した財閥家の孫として生まれ変わり、ただ財閥家に生まれたというだけで権力を使って富を享受している財閥家に復讐していくんです。
復讐といっても、頭脳を使った正攻法で、2回目の人生で未来に何が起こるか知っているからこそ、当たる株や事業に投資して大儲けしたり、逆に株価暴落や9.11などの危機を回避しつつ、財閥家を危機に陥れたりと痛快極まりなし。
まさに若者たちが「이생망(イセンマン)=이번 생은 망했다(今回の人生は終わった)」とつぶやく韓国で、感情移入&代理満足、スカッとせずにはいられないドラマなのです。
私もそこまで韓国の財閥や当時のニュースについて知らなかったのですが、それでも楽しめたので、よく知っている人はもっとおもしろいはず。(世界的に有名な企業やヒット映画なども出てきますよ~)
しかも!
出演している俳優陣の演技がすばらしい!!!
特に財閥の創業者、会長を演じたイ・ソンミンの演技がすごく魅力的で、主人公のソン・ジュンギ以上に主人公のようなカリスマ爆発。
他にも強力な名バイプレイヤーが集結していて、おもしろさ倍増してます。
もともと原作はウェブ小説で、とても人気があったんですが、俳優陣の鳥肌演技が加わり、大ヒットしたのも納得の超おすすめ作品です。
見どころ解説
実在の財閥グループ、出来事がモチーフ
冒頭で「このドラマに登場する人物・機関、企業、事件、地名等は実物とは関係ありません。」と書かれているものの、ある程度韓国を知っている人なら(韓国人なら誰でも)「スニャングループはサムスンじゃ…?」とわかるはず。
ライバルとして登場するデヨングループは現代(ヒョンデ)のことだし、売却されたアジン自動車はキア自動車…。
となると登場人物もモデルとなる人物が浮かんでくるわけで。
他にも、韓国の大統領選、金賢姫の大韓航空機爆破事件、IMF通貨危機から9.11テロ、日韓ワールドカップ、オリンピックやヒットした映画、世界を席巻した企業など、実際の現代史、時事ニュース、事件、トレンドが組み込まれてドラマが展開していくからたまりません。
こうした背景を知っていればいるほど、スルメをかむようなおもしろさが味わえます。
いろんな事件やエピソードを絡めてストーリーを作った作家はすごい!
原作小説とは違う結末
原作は2019年に発表されたウェブ小説。
ドラマもだいたいの流れは原作に沿っているものの、細かい設定やエピソードで少し違いがあります。
(モチーフにした企業なども原作の方がもっと多い)
なんといっても一番違うのが結末。
韓国では、小説とは違うドラマの結末が不評だったんですが、全体としてはすごくおもしろいために許されてる印象。
スカッとわかりやすい小説の結末に対して、ドラマはもう一ひねりされていて、個人的にはこれはこれでおもしろかったです。
むしろ、原作とまた違うところがあるので、小説、ドラマとそれぞれ楽しめます。
今は小説の内容でウェブトゥーンでも連載されていて、日本語にも翻訳されているので、比べてみるのもおもしろいですよ!
『財閥家の末息子』で検索すると出てくるよ
熱狂させるカリスマ演技のキャスト
名バイプレイヤーが多く、紹介しきれないため、ここでは独断と偏見で、特にすごい!と思ったキャストに絞って紹介します。
イ・ソンミン(スニャングループ会長 チン・ヤンチョル)
ドラマに登場する会長役が、これほど魅力的なんて!!
とにかく目を離せないんですよ。
財閥の会長役として、鋭く、豪胆なカリスマ性、何を言いだすかわからないその一挙手一投足に、周りがいつも機嫌をうかがっているのも納得する演技。
正直ドラマを見るのが止まらないのは、「この人の演技を観たい!」という気持ちが大きかったです。
ソン・ジュンギがこのドラマに出演する決め手になったのも、イ・ソンミンが会長役にキャスティングされたことが大きいんだそう。
ドラマ『ミセン』ではオ課長でしたよね。
現在50代でありながら、70代の老人を自然に演じ、後半は鳥肌演技の連続でした。
ドラマ『ミセン』で広く知られるようになり、映画『工作 黒金星と呼ばれた男』、『南山の部長たち』など難しい役どころを演じきる名優。
『南山の部長たち』の大統領役もまるで別人。なりきっててすごいよ!
ソン・ジュンギ(会長の末の孫 チン・ドジュン / 秘書 ユン・ヒョヌ)
もちろんこのドラマには、ソン・ジュンギがいたからこそ!
財閥家の末息子にピッタリのお坊ちゃんの雰囲気に、飄々とした態度でシラっと相手を出し抜くのが自然体なんですよね。(見てるほうもスッキリする)
前作のドラマ『ヴィンチェンツォ』でも、もうちょっと強い勧善懲悪、目には目を歯には歯を的な内容をクールに演じて好評でしたが、
今回は高校生~40代、生活に苦労していたヒョヌと財閥の孫ドジュンと、幅広い演技を見せてくれます。
実齢37歳で、高校生を演じても違和感がないのがすごすぎ!
キム・シンロク(会長の娘 チン・ファヨン)
この方も演技が光ってます!
財閥で何不自由なく育った傲慢さと欲深さ満点で、父親である会長に愛嬌をふりまきつつ、無能な兄たちを出し抜こうと企むスニャン家の娘。
父に泣いてすがるシーンは必見。
Netflixドラマ『地獄が呼んでいる』では、公衆の面前で魔物に処刑される役、2021年のヒットドラマ『怪物』ではクセのある刑事と、最近はヒット作で存在感のあるキャラクターを演じて注目されています。
ソウル大学(韓国の最難関大学)出身なんだって!
チョ・ハンチョル(会長の次男 チン・ドンギ役)
この方も役柄によってガラッと変わるんですが、なんだか情けない役をするのがすごくうまいんですよね。
このドラマでは、次男として生まれたがゆえに、なんでもナンバー2になってしまう憤りをもっていて、後継者として見てもらいたい父親の前でずっと顔色をうかがっているようなキャラクター。
滑稽にも見えるその姿は、愛情を受けたい悲しみさえも感じられます。
ソン・ジュンギと共演したドラマ『ヴィンチェンツォ』でも、形勢が変わる度に一喜一憂するローファームの代表でした。
こういう役は天下一品だよね
キム・ナムヒ(会長の一番孫 チン・ソンジュン)
この方もどんな役をしても印象に残る実力派。
スニャングループの後継者になることを誰もが信じて疑わない会長の一番目の孫として、体面を保ちつつ、内面はすさんだサイコパス的な一面をもつ。
そんな表裏ある姿、豹変する演技が怖いくらいでした。
Netflixドラマ『Sweet Home -俺と世界の絶望-』では果敢に仲間を守る正義感の強い姿に心をつかまれた人も多く、ドラマ『ミスター・サンシャイン』では日本人役だったんですが、英語が下手な日本人のまさに日本人っぽい英語の発音が、憎たらしいぐらいうまかったです…。
実は『トッケビ』にもチラッと出てたよね
パク・ジヒョン(ソンジュンの妻モ・ヒョンミン役)
個人的にこのドラマで知った女優さんだったんですが、そこまで登場シーンは多くはないのに、存在感があり、役柄ととてもマッチしてました。
家柄がいい家で育ち、クールで理性的、自信家でプライドが高い人物。
ドラマ『新米史官ク・ヘリョン』『ブラームスは好きですか?』『ユミの細胞たち』などに出演。
あの眼差しがよかったな
キム・ガンフン(会長の末の孫 チン・ドジュン 子役)
今や子役といえばガンフン君!
今までありとあらゆるドラマの主人公の子役をやってきましたが、特にその飛びぬけた演技に注目されたのがドラマ『椿の花咲く頃』のピルグ役。
大人顔負けの演技ぶりに天才子役として有名になりました。
このドラマでもソン・ジュンギの子役として登場していますが、中身は40代のユン・ヒョヌなので、会長をはじめとした大人を前にひるむことなく、策を練り説得させる姿など、見ごたえあります。
最近では、ドラマ『ラケット少年団』、『マウス』など。
見るたびに大きくなっててビックリしちゃうよ
他にも、いろんなドラマで活躍している俳優たちがたくさん。
注目ポイントとして、少女時代のティファニーが得意な英語を活かした役でドラマ初出演しています。
最後に:家族でも楽しめる『財閥家の末息子』
最近はサブスクやTVerなどの影響もあって、個人で好きなコンテンツを楽しむことが多いですよね。
逆に言えば、家族そろって同じドラマを楽しむなんて、もうほとんどないんじゃないでしょうか。
それがです!
韓国では、この『財閥家の末息子』は家族そろって、両親が「あの頃は〇〇だったんだよ~」なんて話も聞きつつ、ドラマを楽しんだ人たちが多かったそう。
世代も越えて楽しめるおもしろさ、ぜひ見てみてくださいね!
あ~、おもしろかった