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『母なる証明』ネタバレなし感想:肯定も否定もない狂おしい母の愛と人生、そしてダンス

『母なる証明』スチール写真
出典:NAVER영화:마더

ポン・ジュノ監督がアカデミー賞で4冠をとった『パラサイト 半地下の家族』で面白さにすっかりはまり、ようやく見たのがこの2009年の作品。

『パラサイト』をじっくり鑑賞した今だからわかりますが、もうすでに『パラサイト』の原型ともいうべき要素がこの映画にしっかり入っているではないですか!

今まで『母なる証明』も何度か見ようかと思ったんですが、タイトルやあらすじから、母親の愛、知的障害の息子、殺人事件…と先が読めてしまうような気がしていたんですが、全然予想もできない内容でした…。

この記事では、これから『母なる証明』を見る方へ感想だけでなく、監督が意図した鑑賞ポイント知ってるとおもしろい韓国情報をお伝えします!

パンダ夫人

この作品は思ったより目をそらすようなシーンは少なかったよ

この記事を書いた人
  • 韓国在住10年
  • 韓国ドラマ、映画三昧
  • 映画・ドラマのエキストラ経験あり
  • 映画をテーマに卒論執筆

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パンダ夫人
目次

『母なる証明』あらすじと作品情報

母なる証明ポスター
出典:NAVER영화:마더
公開 / 時間 / 年齢制限2009 / 128分 / R18+
原題마더(マザー)
監督ポン・ジュノ
出演キム・ヘジャ、ウォンビン、チン・グ、チョン・ミソン
あらすじ町の韓方薬の店で働き、息子と2人きりで暮らす母(キム・ヘジャ)にとって、息子(ウォンビン)が全てだったが、年相応のことができず、純粋で無邪気な息子が何か事を起こす度に、母親は心配していてもたってもいられなくなるのだった。

ある日、1人の少女が殺され、容疑者として息子が捕まってしまう。息子を助けるために母親が駆け回るが、警察は事件を早く終わらせようとし、弁護士も全くやる気がない。

結局、息子を助けるために信じられる人が1人もおらず、母親自ら犯人を捜すことになるのだが、事件は思わぬ展開を迎えることに―

『母なる証明』感想:ネタバレなし

ラストシーンの余韻と残像が頭に残って、もう一度内容を噛み締める、そしてまたオープニングを見たくなる忘れられない映画となりました。

オープニングが印象的でファンも多いというのも知っていましたが、まさにそのとおり。

冒頭に書いたように、私が勝手に思い描いていたステレオタイプの内容、タイトルやあらすじから先が読めてしまうような映画ではありませんでした。

パンダ夫人

なんでもっと早く見なかったんだろう

この映画がよく「思わぬどんでん返し」や「衝撃の結末」があると紹介されていることがありますが、あるにはあるもののそれがメインではなく、もっと人間の普遍的なものを強く感じさせられる映画

でも、きれいなものだけ見ていたい人には向いていません。

そもそも殺人事件が発端であるだけでなく、画作りも暗く、ストーリーも衝撃的なところもあるので、苦手な人もいるはず。

核心は人間、いや母親の表面的なきれいな部分だけでなく、陰の部分までも描いており、それを監督は肯定も否定もせずに私たちにつきつけてきます

『母なる証明』スチール写真
出典:NAVER영화:마더

そして今見たからこそ強く感じたのは、もうすでに『パラサイト』で見られる要素が満載で、揺るぎないポン・ジュノ監督の世界がそこにはあり、『パラサイト』が心に響いた人、余韻を引きずった人にぜひ見てもらいたい映画です。

>>『パラサイト 半地下の家族』ネタバレ解説 総まとめ!メタファー・伏線13個を徹底考察~

こんな人におすすめ!
  • 心の奥深くまで揺さぶられたい人
  • 『パラサイト』を見て、響いた人、余韻を引きずった人

韓国での評価

公開当時の観客数は298万人。

評価は10点満点で、現在は9.45点の高評価。記者・評論家も8.25点と観客よりは低いものの高評価といえます。

公開当時は7点台とあまり評価が高くなかったようですが、パラサイト効果か今は評価があがっています)

好評
  • 監督といえば『グエムル』か『殺人の追憶』だけど、実は『母なる証明』が隠れた名作
  • 最後の演出が忘れられない
  • 最高だ、本当に最高だ
  • 崇高なサスペンスを作り上げた
  • ハリウッドでCGや制作費をたくさん使ってもできない吸引力を、田舎の背景で俳優2人が作り出すなんて誰でもできることではない
不評
  • 息苦しくて憂鬱で錆びているような演出は最悪
  • シーンごとに何か隠されているんじゃないかと疑わせるように作っているのでずっと息苦しくてイライラする
  • 見た後、気分が悪くなるから見ないほうがいい
  • 退屈で、ストーリーも変
評価、口コミ出典:NAVER영화:마더
パンダ夫人

好評が多いけど、好き嫌いがけっこうわかれるね

『母なる証明』サムネイル

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『母なる証明』鑑賞ポイント5つ

『母なる証明』で楽しめる鑑賞ポイントをお伝えします。

特に、ポン・ジュノ監督が意図的に演出しているポイントを知っておくとかなり楽しめます。ネタバレはありません

ウォンビンの目、横顔

ウォンビンはヨン様(ぺ・ヨンジュン)らといっしょに韓流ブームの四天王として人気のあった俳優ですが、兵役後5年間のブランクを経て出演したのが『母なる証明』です。

正統派のイケメンにこの配役をもってくる監督もすごいですが、それを選ぶウォンビンもすごいですよね。

息子役トジュンには母親を追い込むことができ、保護していないと何か事が起きてしまいそうなイメージを持った俳優に演じてもらいたかった。そのイメージを持ったのがウォンビンさんでした。そして実際ウォンビンさんにお会いして、目がとても純粋で、偶然にも母親役のキム・ヘジャ先生の目にとても似ていたんです。そのため多々彼の目をクローズアップするシーンや彼の目について触れるセリフを意図的に使用しました。

出典:「キム・ヘジャ先生の映画です」 3年ぶり長編完全オリジナル作品 映画『母なる証明』ポン・ジュノ監督インタビュー

映画の中で、彼の目についてのセリフが何回もでてきます。

『母なる証明』スチール写真
出典:NAVER영화:마더

その目は純粋無垢できれいな目であると同時に、何かを見透かしているような怖さを感じる時もあり、ウォンビンだからこなせた役だと言えるでしょう。

パンダ夫人

本当に”イノセント”という言葉がぴったりな目だよね

今回、意味深長なシーンのときには側面からクローズアップすることが多かったのですが、あるときは顔を背けたりうつむいたり。特に、ウォンビンさんの“側面”にはこだわりました。顔の片側しか見えないということは、もう一方は隠されている状態になりますよね。トジュンには何か、他人が知りえない秘密が隠されているのではないか、というのを示したかったんです

出典:『母なる証明』ウォンビン&ポン・ジュノ監督インタビュー “目”に隠された意味とは
『母なる証明』スチール写真
出典:NAVER영화:마더

例えば刑務所での面会のシーンは何回もありますが、目のクローズアップや横顔などでいろいろな感情が湧きあがってくるので、単調になったり飽きることもなくストーリーに引き込まれます。

パンダ夫人

鳥肌が立つようなシーンもあるよ

国民の母のイメージを破壊

母親を演じたキム・ヘジャさんは韓国では”国民の母”と言われる有名な女優です。

今現在、ドラマだけでも48作品、そのうちの一つである『田園日記(1980-2002)』は22年間続いた超長寿ドラマ。

そこで演じた伝統的な温かい母親のイメージが”国民の母”として定着しました。(実年齢と合わないので、ずっとかつらを使っていたそう)

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