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『梟 -フクロウ-』感想:あの衝撃はまるでホラー!五感でゾクゾクする傑作映画

『梟 -フクロウ-』スチールカット
出典:영화 올빼미 포토

ハッとする反転シーンに心奪われて、目も心も釘付け、久々の高揚感…

なんでこんなおもしろい作品に気がつかなかったんだ!と遅れて見たことを悔やむほど。

韓国で公開された時はそこまで話題にならなかったんですが、ふたを開けてみたら主要な韓国の映画賞で受賞ラッシュだったこの作品、

本当におもしろかったので、ぜひみんなに見てほしい~!

ってことで、『梟 -フクロウ-』を見た感想と背景の解説をネタバレなしでお伝えします。

主な受賞歴
  • 第44回 青龍映画賞(新人監督賞、撮影照明賞、編集賞)
  • 第59回 大鐘賞映画祭(新人監督賞、脚本賞、編集賞)
  • 第59回 百想芸術大賞(映画作品賞、映画新人監督賞、映画男優最優秀演技賞)
この記事を書いた人

韓国在住12年。ほぼ毎日韓国ドラマ、映画三昧です。特に作品性が高く、メタファーや伏線、隠れネタがあるものが大好物。映画をテーマに卒論執筆、映画・ドラマのエキストラ経験あり。

プロフィール

パンダ夫人
目次

『梟 -フクロウ-』あらすじと作品情報

『梟 -フクロウ-』poster
出典:영화 올빼미 포토
公開 / 時間 / 年齢制限2022 / 118分 / G
原題올빼미(フクロウ)
監督アン・テジン
出演リュ・ジュンヨル、ユ・ヘジン、チェ・ムソン、チョ・ソンハ、パク・ミョンフン、キム・ソンチョル、アン・ウンジン、チョ・ユンソ
あらすじ盲目でありながら優れた鍼灸の腕を持つギョンス(リュ・ジュンヨル)は、その才能を認められ宮廷で働くことに。

その頃、清に人質として連れていかれたソヒョン世子(キム・ソンチョル)が8年ぶりに帰国、王の仁祖(ユ・ヘジン)は息子が帰ってきた喜びも束の間、正体不明の不安に襲われる。

そんなある夜、ギョンスは世子の死を”目撃”することになる―

『梟 -フクロウ-』感想:ネタバレなし

あって短い予告編にしています

こんなにゾクゾクおもしろかった映画は久しぶり!

主人公である盲目の鍼師が、感覚をとぎすませて周囲の状況を把握するのに合わせ、見ているこっちまで五感フル回転。没入度がすごい!

そこへまさかの急転、その衝撃はまるでホラー、まさに狂気。

見終わった後も、まだあのシーン引きずってますが、いかにもスリラーっぽいこの衝撃が心地いいんですよ!(変態か笑)

そこから一気に話が二転三転していくんですが、これが韓国では有名な史実から想像されたストーリーというのもおもしろいんです。

史実に実際に残っているのは、映画冒頭で説明される世子(王の息子)が変死した内容と、周辺人物の末期のみ。

韓国でも「どうしてそうなったのか」はあくまで推測で、言ってみれば空白の行間を、この映画がイマジネーションでこんなにおもしろく仕上げたのがあっぱれ。

よって歴史を知らなくても、しっかり楽しめます。

『梟 -フクロウ-』スチールカット
出典:영화 올빼미 포토

盲目の鍼師を登場させたのも斬新ですが、目が見えないが故に起こること、その生き様など、セリフや設定にしっかり伏線が仕込まれているのが魅力

盲人を演じたリュ・ジュンヨルをはじめ、王のユ・ヘジン、王医のチェ・ムソン、世子のキム・ソンチョルなど、実力派俳優たちが脇をしっかり固めた安定した演技力

私は前情報を全く入れずに見たので、続々登場するキャストにもワクワク、展開にも度肝を抜かれて、かなり楽しめました。

これから見る方は、予告編も15秒の短いものだけにして(日本の予告編はちょっと見せすぎ)、あまり情報を入れずに見た方が高揚感ある映像体験ができることでしょう。

パンダ夫人

史劇だけど、現代の感覚で見られるよ!

背景解説:韓国でよくドラマ化される史実

実は何度もドラマ化されているのが、李氏朝鮮の第16代王仁祖(インジョ)とその息子昭顕(ソヒョン)世子の話。

本編『梟 -フクロウ-』もこの背景なのですが、簡単にこの史実を解説します。(ネタバレなし

仁祖と息子のストーリー

『梟 -フクロウ-』スチールカット
出典:영화 올빼미 포토

第16代王、仁祖は中国の「明」に朝貢(貢物を差し出す)して親交を保っていましたが、そこへ後の「清」となる勢力が攻めてきます。

でも、その「清」の勢力は元々朝鮮に朝貢に来ていた女真族が建てた国で、朝鮮では「オランケ(野蛮人)」と蔑んでいました。もちろん要求も拒否。

仁祖が朝貢を拒絶し、清皇帝を認めないと公表すると、激怒したホンタイジはただちに朝鮮への親征を行った。清の圧倒的な兵力の前に各地で敗北を重ねた朝鮮軍は開戦後40日余りで降伏し、和議が持たれた。

Wikipedia:大清皇帝功徳碑

これが丙子へいしの乱といわれる戦争で、映画『天命の城(2017)』(イ・ビョンホン主演、坂本龍一が音楽を担当)やナムグン・ミン主演のドラマ『恋人(2023)』などでも描かれています。

敗戦して締結された三田渡さんでんとの盟約は、

講和内容は11項目に及び、清への朝貢と清からの冊封、明との断交、朝鮮王子を人質に差し出す、膨大な賠償金など屈辱的なものであった。そればかりか仁祖は三田渡で、ホンタイジに対し三跪九叩頭の礼(三度跪き、九度頭を地にこすりつける)をもって清皇帝を公認する誓いをさせられる恥辱を味わった。

つまり仁祖は清にめちゃくちゃ屈辱を受け、長男である昭顕(ソヒョン)世子を人質として清へ送らざるを得なかったのでした。

Netflixドラマ『魅惑の人(2024)』ではチョ・ジョンソクが王の息子ではなく、弟として清に人質で連れていかれた設定になっています。

パンダ夫人

本編『梟 -フクロウ-』はこの世子が8年ぶりに帰ってくるところから始まるよ!

それから映画冒頭に出てくるこの記録、

朝鮮に戻った王の子は、ほどなくして病にかかり、命を落とした。 彼の全身は黒く変色し、目や耳、鼻や口など七つの穴から鮮血を流し、さながら薬物中毒死のようであった。

朝鮮王朝実録

いったい何が起こったのでしょうか?

その想像の一つとして本編を楽しんで見てくださいね。

パンダ夫人

ちなみに盲目の鍼師以外は実存する人物だよ

この時代背景の主な作品

<映画>

  • 神弓-kamiyumi-(2011)
  • 天命の城(2017)

<ドラマ>

  • 推奴~チュノ~(2010)
  • 馬医(2012)
  • 花たちの戦い -宮廷残酷史-(2013)
  • 華政(2015)
  • 恋人(2023)
  • 魅惑の人(2024)

韓国での評価

観客数:332万人

評価(10点満点):8.71点

観客数はそこまで伸びませんでしたが、見た人がほぼ満足する高評価。

好評
  • ユ・ヘジン、リュ・ジュンヨルの2俳優の狂気に満ちた演技で、118分間スクリーンを釘付けにした秀作!王を熱演したユ・ヘジン俳優の変貌に熱い拍手を送りたい!
  • 演出がめちゃくちゃ面白いです。デビュー作だそうで、今後が楽しみな監督です
  • 本当に面白い…さすがユ・ヘジン、リュ・ジュンヨル、すべての俳優の演技は言うことなし
  • 2022年下半期最高の映画、めちゃくちゃおもしろい
  • 史劇なのにこんなにおもしろくできるんですね!中盤から後半、めちゃすごい
不評
  • ありきたりな話、ダサい演出
  • ほんとにいい映画…だけど、すごく眠たかった
  • 評価操作してんじゃないの?2022年稀代の駄作。リュ・ジュンヨル演技派みたいな顔してるなら演技ちゃんとしてくれ
評価、口コミ出典:영화 올빼미 관람평
パンダ夫人

不評がほとんどなく、探すのが大変だったよ

最後に:鑑賞後にわかるタイトル『梟 -フクロウ-』の妙味

映画を見た後に、「あ~だからフクロウなんだ」と納得することでしょう。

さて、盲目の鍼師である主人公にはどんな秘密があるでしょう?

どうぞお楽しみに~!

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