見たかったけど怖くて見られなかった『キングダム』、ついに完遂…
一度見始めたものの、最初のオープニングからビビッてしまい、1話でギブアップしていたんです。
ゾンビはもちろんのこと、それ以上に朝鮮時代の闇と民俗的な怖さも相まってかなりディープな世界観…

そしてこれだけは言えます。
Kゾンビを代表する映画は『新感染 ファイナル・エクスプレス(2016)』、
ドラマは『キングダム』でまちがいありません!
日本に同名の映画や漫画があるんですが、まったくの別物です。
怖いものが苦手な私が、ビビりながらも最後まで目が離せなかった『キングダム』のネタバレなしの感想、見どころをお伝えします!
Netflixオリジナルドラマで、シーズン1、2があります。
タップできる目次
『キングダム』のあらすじと作品情報

放送局 / 放送日 | Netflix オリジナル / シーズン1:2019/01/25~ シーズン2:2020/3/13 |
---|---|
話数 / 年齢制限 | シーズン1:6話 シーズン2:6話 / R18+ |
原題 | 킹덤(キングダム) |
脚本 | キム・ウニ |
監督 | キム・ソンフン、パク・インジェ(シーズン2から参加) |
キャスト | チュ・ジフン、ペ・ドゥナ、リュ・スンリョン、キム・サンホ、キム・ソンギュ、チョン・ソクホ、ホ・ジュノ、キム・へジュン |
簡単なあらすじ |
朝鮮王朝の首都:漢陽(ハニャン/現ソウル)では、王が病に伏したとの文書が出回り、国を揺るがしていた。 世子(セジャ/皇太子)であるイ・チャン(チュ・ジフン)は父である王の様子を確かめようとするが、若い王妃(キム・へジュン)が立ちふさがる。 王妃の父である領議政チョ・ハクチュ(リュ・スンリョン)は国の実権を握ろうとかねてから陰謀を企んでいたのだった。 真実を知り、国を守るため、チャン世子は護衛のムヨン(キム・サンホ)を引き連れ旅立った―そこで見たものは… |
『キングダム』感想:ネタバレなし
シーズン1、2と通して一気に見ましたが…、
なんとこれからが始まりじゃないですか!!!
得体の知れないゾンビが現れ、それが病変し広がっていくー
それに王権をかけた争いが絡み、この先誰もがどうなるかわからないハラハラ感と
誰を信じたらいいのかわからない不信感も加わり、
一体どうやって終わるのか想像すらできなかったけど、まさかこれが始まりとは…。
この脚本家すごい。
これだけ伏線があって、反転があって、充分おもしろかったのに、
「まだ大きな秘密が隠されている」って何なんだー!!!
怖いものが苦手なくせに一気に見てしまうほどハマり、その終わりが始まりだったなんてもう次が待ちきれない~~~
シーズン1はゾンビのインパクト、画面の演出がとても印象的で、シーズン2では人情的なシーンも加わり深みが増し、最後にはウルっと涙まで。
キャストに名前を挙げきれないほど、あちこちで顔を見かける実力派の俳優たちの演技もすばらしく、美術に演出といい本当にクオリティが高い名作。
各シーズン6話ずつなので、ディープにサクッと見られるのもいいです。
注意事項は、ホラー系が苦手な人はゴロゴロ転がってくる首をまじまじ見つめないように!(うす目使ってぼかしてね)
見どころ解説
高品質で圧巻の世界観と演出
クオリティの高さはもう最初のオープニングから鳥肌もの。
谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』を思い出してしまうほど、朝鮮時代の美しさと怖さが紙一重になっているような演出。
闇と光、静と動、緩急がある演出ゆえに生まれる緊張感。
これも『キングダム』が正真正銘のNetflixオリジナル(韓国ドラマで初)であり、Netflixが制作費を全額負担、潤沢な資金があったことも大きいですね。
(日本でNetflixオリジナルになっている『愛の不時着』や『梨泰院クラス』のような多くのドラマは、韓国ではTV放送されたもの)
Netflixのドラマといえば、その製作費が毎回ニュースに取り上げられるほど高額で有名だ。山田孝之がAV監督村西とおるの半生を演じた『全裸監督』も、1話1億円の高額制作費が話題となった。
しかし、この『キングダム』の製作費は、なんとその2倍の1話2億円だという。日本国内のドラマで最も制作費をかけていると言われるNHK大河ドラマでさえ1話5000万円から7000万円程度なので、その規模の違いがおわかりいただけるだろう。
ゾンビだけでない引き込まれるストーリー
脚本は日本でもリメイクされたドラマ『シグナル』の作家、キム・ウニ。
なんと2011年から7年間の構想を経て書いたんだそう。
朝鮮時代の記録にあった「何十万人が謎の死をとげたという史実」から、疫病とゾンビを結びつける構想が浮かんだものの、残虐な表現や史劇×ゾンビでは資金がかかりすぎてTVではできないな…と思っていたところへNetflixの話があったんだそう。
朝鮮時代に飢えと貧困で苦しんでいた民衆がゾンビになったらどうなるか、そこからあの人を貪るゾンビが誕生し、当時の状況を表現できるんではないかと思ったそうです。
ただ恐ろしいゾンビを作り上げるんじゃなく、そうした背景を表現しようとして作られたことに感嘆…。
それに、『シグナル』がサスペンスでありながらヒューマンドラマがしっかり描かれているように、
『キングダム』もゾンビものでありながら、見ているうちに権力争いの行く末がどうなるか、裏切り者は誰か、ストーリーへどんどんのめり込んでしまいます。
大義を貫き、欲にまみれた権力者とは違くありたい世子(セジャ)の孤独な闘いでもあり、周囲を取り囲む面々もそれぞれの闘い、ドラマがあり、これがいろんな伏線を生むから、きっとおもしろくなるんですね。
>>韓国ドラマ『シグナル』感想:絶対見たほうがいい傑作ヒューマンサスペンス
実力派の俳優たち
なんといっても光っているのは俳優たちの演技。
正直、著名なキャストが多くて挙げきれません。
きっと韓国ドラマや映画をちょくちょく見ている人だったら、いろんなところで「あっ!」と思う人がいるはず。
ここでは本当にメインなる3人をご紹介。
チュ・ジフン(イ・チャン世子役)

映画『神と共に』『工作 黒金星と呼ばれた男』『アシュラ』『暗数殺人』やドラマ『ハイエナ -弁護士たちの生存ゲーム-』などで活躍。
『キングダム』では皇太子にあたる世子(セジャ)イ・チャンを演じていますが、体格が良く、坊ちゃんぽい雰囲気がある彼にぴったり!
この役は最初ソン・ジュンギにオファーがいったそうなんですが、彼が辞退してチュ・ジフンになったんだとか。
今となってはもうチュ・ジフンしか考えられないですね。
ペ・ドゥナ(医女ソビ役)

出典:비밀의 슾:현장 포토
ドラマ『秘密の森』『最高の離婚 ~Sweet Love~』『センス8』、映画『空気人形』『ハナ ~奇跡の46日間~』などで活躍。
『キングダム』では重要な役回りである医女ソビを演じています。
ゾンビが向かってきても、その原因究明に突き進む姿を見ながら、『秘密の森』の警察役や、『グエムル-漢江の怪物-』の彼女をつい思い出してしまいました。
リュ・スンリョン(チョ・ハクチュ役)

出典:NAVER영화:극한직업
映画『7番房の奇跡』『バトル・オーシャン 海上決戦』『王になった男』など著名作が多い超演技派。
中でも特に最近の『エクストリーム・ジョブ』ではめちゃくちゃコメディで笑わせてくれたのに、『キングダム』では正反対の極悪人、陰謀を企む権力者チョ・ハクチュを演じています。
とても演技の幅が広く、この人が登場すると画面に深みが増しますね。
ゾンビ俳優
そして隠れた主役とも言えるのが、ゾンビを演じた俳優たち。
『キングダム』の他、ゾンビで有名な映画『新感染 ファイナル・エクスプレス(2016)』『新感染半島 ファイナル・ステージ(2020)』『#生きている(2020)』の全てに出演しているゾンビ俳優もいるくらいです。
それぞれの映画ごとにゾンビの設定が違うので、もちろん動きも違い、好きな人は比べてみるのもおもしろいかも。
『キングダム』では、ゾンビは3チームからなっており、2か月間トレーニングしたそうです。
最後に:シーズン3の前に『キングダム:アシンの物語』
もうシーズン3が待ち遠しくてたまりません。
が、その前にシーズン2のエンディングで登場した人物が大きな話題になりました。
それもあのチョン・ジヒョン!
そして、ついにシーズン3の前に、スペシャルエピソードとしてチョン・ジヒョン主演で『キングダム:アシンの物語』が配信されました~!!
脚本家のキム・ウニはアシンについて「主要人物の1人で、彼女を語る上で生死草の秘密は欠かせない。この話はシーズン3よりもスペシャルエピソードで描いたほうが面白いと考え、『アシンの物語』を企画した」と説明している。
『キングダム:アシンの物語』は、生死草の秘密を求めて北方に向かったイ・チャン一行が出くわした謎の女性・アシンの前史であり、シーズン2の延長線になる予定。
>>『キングダム:アシンの物語』感想:怒涛の展開がすごすぎて呆然…ネタバレなし
キム・ウニ作家は韓国の番組で、できるならシーズン10までやりたいぐらいだと話していたので、まだまだ構想やアイディアはたくさんありそうです。
『ウォーキング・デッド』のように『キングダム』も長寿ドラマになるといいですね!
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